労働市場における自律的就労形態の拡大は、世代によってまったく異なる色彩を帯びて受容されている。厚生労働省の調査によれば、30代以下の就労者のうち約38%が、従来の雇用契約に縛られない働き方を「積極的に選択した結果」と回答したのに対し、50代以上では同様の回答が12%にとどまった。この数値の乖離は、単なる選好の違いにとどまらず、労働という行為そのものに対する美学的態度の相違を映し出しているとも言えよう。若年層にとって、プロジェクト単位で自らの技能を市場に差し出す行為は、ひとつの表現であり、自己の輪郭を描く創造的営みとして捉えられている節がある。しかしながら、こうした意識の高揚が必ずしも経済的安定と両立するわけではなく、社会保険や退職給付といった制度的庇護から切り離された状態に置かれることを余儀なくされている実態も、同調査は冷静に記録している。自由と不安定性はコインの表裏であり、その認識の深度もまた、世代によって著しく異なるという点が、この調査の最も示唆に富む発見であった。
前掲の調査と並行して実施された意識調査では、独立就労者の「満足度」と「持続意向」の間に興味深い断絶が観察された。40代以上の独立就労者は満足度こそ相対的に低い傾向にあるものの、就労形態を変更する意向を示した割合は20代と比較して有意に低く、むしろ現状維持への傾斜が顕著であった。一方、20代の独立就労者は高い満足度を示しながらも、5年以内に正規雇用への移行を検討すると回答した者が全体の47%に達しており、表面的な充足感の裏側に潜む不安の地層を透かし見るようである。この逆説的な構図は、若年層が自律的就労を一種の過渡的な美的体験として享受している可能性を示唆するとともに、制度的安全網の欠如がもたらす長期的な不安が、意識の深部において着実に堆積していることを物語っている。世代を問わず共通して浮かび上がったのは、現行の社会保障制度が多様化する就労形態に追いついていないという認識であり、この一点においてのみ、両世代の声は共鳴していた。