私が大学で経済学を教えるようになってから、もう三十年以上が経つ。その間、日本社会は大きく変わった。かつては「一億総中流」という言葉が広く信じられ、多くの人が自分を中産階級だと感じていた。しかし今、その感覚はずいぶん薄れてしまったように思う。
非正規雇用で働く人の割合は年々増え続けており、正規雇用との賃金差は依然として大きい。若い世代の中には、いくら努力しても生活が安定しないと感じている人が少なくない。この現状を前にして、私は何度も自分の研究の意味を問い直してきた。
経済格差の問題を論じるとき、よく「公正と効率」という対立が取り上げられる。富を広く分配すれば社会は安定するが、働く意欲が失われるという意見がある。一方で、格差が広がりすぎると、貧しい層の人々が教育や医療を受けられなくなり、社会全体の力が落ちるという見方もある。どちらが正しいのか、簡単には言えない。
私が特に気になるのは、税制と社会保障の問題だ。所得に応じて税を集め、それを必要な人に配るという仕組みは、理屈としては理解できる。しかし実際には、制度が複雑すぎて、本当に支援が必要な人に届いていないことがある。
以前、ある学生が「奨学金の申請手続きが難しくて途中で諦めた」と話してくれた。書類を集める手間、窓口に何度も足を運ぶ必要性、そして締め切りの厳しさ。これらが重なって、支援を受けるべき人が受けられないでいる。制度の設計そのものに問題があると言わざるを得ない。
最低賃金の引き上げについても同様だ。賃金を上げることで低所得者の生活は改善されるかもしれないが、中小企業の経営を圧迫するという懸念もある。どの政策も、一方の利益が他方の負担になる構造を持っている。だからこそ、慎重に、そして継続的に検討し続ける必要があると私は考えている。
【所得支援制度 利用案内】
対象者:現在、無職または非正規雇用であり、世帯収入が一定基準以下の方
申請に必要な書類:
①本人確認書類(運転免許証またはマイナンバーカード)
②収入を証明する書類(給与明細または源泉徴収票)
③世帯全員の住民票(発行から三か月以内のもの)
申請の手順:
まず、お住まいの市区町村の窓口にお越しください。担当者が状況を確認した上で、申請書類をお渡しします。書類に必要事項を記入し、上記の証明書類とあわせて提出してください。審査には通常二週間から一か月程度かかります。
注意事項:
・申請は本人が行うことを原則とします。ただし、体調や事情によりご本人が来られない場合は、代理人による申請も認められます。その際は委任状が必要です。
・審査の結果、支給が認められない場合でも、別の支援制度をご案内できることがあります。まずはご相談ください。
・制度の内容は年度によって変わる場合があります。最新の情報は市区町村の窓口またはホームページでご確認ください。