N1· 中文 · 約 700字
本文
今となっては、あの熱狂が遠い夢のように思われる。しかし二年前のあの夜、スタジアムを埋め尽くした観衆が一斉に立ち上がった瞬間こそ、筆者がスポーツの本質的な力を確信した転機であった。
国際親善試合が開催されたのは、両国間の外交摩擦が頂点に達しようとしていた時期であった。政治的対立が深刻化するにつれ、市民レベルの交流もまた次第に萎縮を余儀なくされていた。そのような閉塞的な状況のもとで、スポーツ関係者たちは競技の場を通じた対話の糸口を模索し続けていたのである。
試合当日、両国のサポーターは互いに一定の距離を置きつつも、同じ芝生の上で繰り広げられるプレーに目を奪われていた。前半を終えた時点では、依然として緊張の糸が張り詰めたままであった。ところが後半、相手国の選手が負傷して倒れ込んだ瞬間、観客席から自然と心配の声が湧き上がった。敵味方の区別なく、人の痛みに反応するという人間本来の共感がそこに顕れたのだ。
試合終了後、双方のサポーターが選手を囲んで健闘を称え合う光景は、いかなる外交交渉にも勝る象徴的な意味を帯びていた。翌朝の報道は試合結果よりも、その場に生まれた連帯の瞬間を大きく取り上げた。
スポーツが社会の亀裂を即座に修復するなどという安易な楽観論を唱えるつもりはない。ただ、競技という共通の言語が対立を超えた対話の回路を開き得るという事実は、もはや否定しようのない現実ではないだろうか。制度や政策が届かぬところに、人々の身体的な共鳴が橋をかける——それこそが競技の場の、いまだ十分に活用されていない潜在的な統合機能であると筆者は確信している。
問題 2
Q1.
筆者がスポーツの力を確信する契機となったのはどのような出来事か。
①両国のサポーターが試合前から友好的に交流し、対立を忘れた様子を見たこと
②外交摩擦が解決され、両国の首脳が和解した瞬間を目撃したこと
③試合結果が引き分けとなり、どちらの国も勝利を主張しなかったこと
④相手国の選手の負傷を機に、敵味方を超えた共感が観客席から自然に湧き上がったこと
Q2.
この文章において筆者が最も主張したいことはどれか。
①国際試合の報道は試合結果よりも選手の人間的な側面に焦点を当てるべきだ
②競技という共通の場が制度や政策では届かない領域での人々の対話を可能にする潜在的な力を持つ
③スポーツ関係者は政治的摩擦が深刻な時期に国際試合の開催を自粛すべきである
④スポーツは政治的対立を完全に解消する万能の手段であり、外交交渉よりも優先されるべきだ
AI 보조로 작성하고 JLPT 레벨·문제 형식을 검수해 공개한 학습용 독해 지문입니다. · 2026년 6월 16일 공개 · 제작 방식 →