N2· 中文 · 約 650字
本文
あの夏、私はまるで壁の前に立ち尽くしているようだった。随筆を書き始めて二十年が過ぎたというのに、原稿用紙を前にすると、言葉がひとつも浮かんでこなかった。毎朝机に向かっては、白いページをながめるだけで、一時間が過ぎていった。書けない日が続くと、自分の中に何もないのではないかという不安が、じわじわと心に広がっていった。
そんなある日、気分を変えようと、近くの川べりをぶらぶら歩いてみた。特に何かを考えるつもりはなかった。ただ、足の向くままに歩いていると、川の水が石にぶつかりながら流れていく様子が目に入った。水は止まることなく、障害物があってもその形を変えながら、前へ前へと進んでいた。「なるほど、水は迷わないのだな」と、思わずつぶやいた。
家に戻った私は、ふと思い立って、これまでとまったく違うやり方を試してみることにした。完成した文章を書こうとするのをやめて、その日に見たものや感じたことを、短い言葉でただ書き留めるだけにしたのだ。上手く書こうという気持ちを捨てたとたん、不思議なことに、言葉がするすると出てくるようになった。
数週間後、その断片的なメモをながめていると、そこには思いがけない発見があった。ばらばらに見えた言葉たちが、ひとつの流れをなしていたのだ。それはまるで、川の水が石をよけながらも海へとたどり着くように、遠回りしながらも確かな方向を持っていた。行き詰まっていたのは、完璧を求めすぎていたからに違いない。そう気づいた日から、私の筆は再び動き始めた。
問題 2
Q1.
この文章の流れとして、最も正しいものはどれですか。
①書き方を変える→川を歩く→気づきを得る→書けない日が終わる
②完璧を求める→川を歩く→断片的なメモをやめる→言葉が出るようになる
③川を歩く→書けない日が続く→書き方を変える→完璧な文章が完成する
④書けない日が続く→川を歩いて気づきを得る→書き方を変える→言葉が出るようになる
Q2.
筆者が「行き詰まっていた」原因として、文章の内容に合っているものはどれですか。
①完成した文章を書こうとしすぎて、言葉が自由に出なかったから。
②随筆を書き始めてまだ日が浅く、経験が足りなかったから。
③川べりを歩いて時間を無駄にしてしまったから。
④断片的なメモばかり書いていて、まとまった文章が作れなかったから。
AI 보조로 작성하고 JLPT 레벨·문제 형식을 검수해 공개한 학습용 독해 지문입니다. · 2026년 7월 7일 공개 · 제작 방식 →