今からおよそ三十年前、インターネットが一般の人々に広まり始めたころ、多くの人は「ネットには何でも正しい情報がある」と思っていた。当時は情報を手に入れること自体がむずかしかったので、ネットで見つけた情報はすべて信じてよいと感じる人が多かったのである。しかし、時代が進むにつれて、ネット上には正しい情報だけでなく、まちがった情報や、わざとうそをついた情報も多くあることがわかってきた。
たとえば、二〇〇〇年代の初めごろ、「ある食べ物を食べると病気が治る」というような情報がネットで広まったことがあった。多くの人がその情報を信じて実際に試したが、後で専門家が調べると、科学的な根拠がまったくない情報だとわかった。このような出来事が何度も起きたことで、人々は「ネットの情報を全部信じてはいけない」と気づくようになった。
この経験から、情報を正しく選ぶ力が大切だということが広く知られるようになった。この力のことを「情報リテラシー」と呼ぶ。情報リテラシーとは、たくさんの情報の中から、信頼できるものとそうでないものを見分ける力のことである。
情報リテラシーを身につけるためには、いくつかのステップがある。まず第一に、情報の出どころを確認することが大切だ。だれが書いた情報なのか、どこのウェブサイトに掲載されているのかを調べるようにする。政府や大学などの公的な機関が出している情報は、比較的信頼できることが多い。
第二に、同じ内容について複数の情報源で確かめることが必要だ。一つのサイトだけを見て判断するのではなく、いくつかのサイトや本で同じことが書かれているかどうかを確認するようにしなければならない。
第三に、情報がいつ書かれたものかを確認することも重要だ。古い情報は今の状況と合わないことがあるからだ。特に医療や科学に関する情報は、新しい研究によって変わることがある。
このように、ネットの情報を選ぶ方法は、歴史的な経験の中で少しずつ作られてきたものだ。過去にまちがった情報に振り回された経験があるからこそ、今の私たちは情報を慎重に選ぶことの大切さを知っている。情報リテラシーは、現代の生活を送る上でなくてはならない力である。ネットを使うすべての人が、この力を身につけるように努力することが大切だと言えるだろう。