N2· 中文 · 約 600字
本文
去年の春、私は息子を近所の相撲道場へ連れて行った。正直に言えば、半ば強引に連れて行ったわけだが、それがこの話の始まりである。
道場の師匠は七十を超えた老人で、土俵の端に静かに座っていた。息子は最初、畳の上で転がされるたびに情けない顔をしていた。それでも毎週通ううちに、少しずつ立ち方が変わっていった。背筋が伸び、足の踏み込みに力が宿るようになったのだ。
ある日、師匠がこんなことを言った。「相撲は勝ち負けより、相手を敬うことを覚える場所だ」と。私はその言葉を聞いて、妙に納得した。現代の競技スポーツは記録や勝利を追い求めるものが多い。しかし相撲のような伝統的な競技には、それとは少し違う何かがある。礼に始まり礼に終わる作法、師匠と弟子の関係、道場という空間そのものが、ひとつの文化を形づくっているのだ。
ところが最近、こうした道場の数は全国的に減り続けているという。子どもの数が減ったうえに、習い事の選択肢が増えたことも影響しているらしい。師匠は「続けることが一番の継承だ」と静かに語っていたが、その言葉の裏には、危機感が滲んでいるように私には感じられた。
息子はいま、道場で一番若い稽古相手として、週に二度汗を流している。彼がこの経験から何を持ち帰るかは、まだわからない。ただ、土俵の上で相手と向き合う時間が、彼の中で何かを育てているに違いない。そう思うと、強引に連れて行ったあの春の朝が、少しだけ誇らしく思える。
問題 2
Q1.
師匠が「相撲は勝ち負けより、相手を敬うことを覚える場所だ」と言ったとき、筆者はなぜ「妙に納得した」のか。
①師匠の言葉が相撲の歴史を正確に説明していると思ったから。
②相撲の試合では勝利よりも礼儀が審判に評価されると知ったから。
③現代の競技スポーツと比べたとき、伝統的な競技には精神的な価値があると感じたから。
④息子が相手を尊重する姿勢を既に身につけていることに気づいたから。
Q2.
この文章の流れとして、最も適切なものはどれか。
①師匠の教えに感動した筆者が、伝統競技を守るための活動を始めるようになった。
②道場の危機が発覚したことで、筆者が息子を道場に連れて行く決意をした。
③息子が道場に通い始め、変化していく様子を通じて、伝統競技の文化的な意味が示された。
④全国的に道場が減っていることを知り、筆者が息子の稽古をやめさせることを考えた。
AI 보조로 작성하고 JLPT 레벨·문제 형식을 검수해 공개한 학습용 독해 지문입니다. · 2026년 7월 13일 공개 · 제작 방식 →