先月、ある調査機関が日本と欧米の家庭を対象に、紙のアルバムに関する調査を行った。その結果は注目に値するものだった。日本の40代を中心とした回答者のうち、約68%が「自宅に紙のアルバムが今も保管されている」と答えたのに対し、欧米の同年代では約31%にとどまった。この差は単純なデジタル化の速度だけでは説明できないと、報告書は指摘している。日本では、成人式や卒業といった節目ごとに家族で写真を整理する習慣が根付いており、アルバムは記録の道具であるだけでなく、家族の歴史を共有するための手段と見なされている。一方、欧米ではデジタルデータでの保存が主流となった時期が早く、紙のアルバムを持つ割合が急速に低下したという背景がある。また、日本の回答者の約54%が「アルバムを家族と一緒に見返したことがある」と答えており、共同で過去を振り返る行為そのものに価値を見出す傾向が強いことがわかる。この調査は、写真の保存方法の違いが、単なる技術的な選択ではなく、家族や記憶に対する文化的な価値観の違いを反映しているという示唆を与えている。
デジタルカメラやスマートフォンが普及した2000年代以降、紙のアルバムを新たに作る家庭は大幅に減少した。しかし、過去10年間の調査データを比較すると、興味深い傾向が浮かび上がる。40代の会社員を対象にした調査では、2013年時点で「紙のアルバムを定期的に整理している」と答えた割合は約22%だったが、2023年には約15%まで低下した。ところが、「古いアルバムを見返す機会があった」と答えた割合は同期間で18%から29%へと増加している。つまり、新しくアルバムを作ることは減ったものの、過去の写真を振り返る行為は逆に増えているわけだ。この背景には、コロナ禍による外出制限が影響しているという分析もある。自宅で過ごす時間が増えたことで、押し入れや棚にしまわれていた古いアルバムを取り出す機会が生まれたと考えられる。また、デジタル化が進む中で、逆に紙の写真が持つ質感や重みに改めて価値を感じる人も増えているという意見もある。このデータは、記憶の保存方法が変化しても、過去を振り返りたいという気持ち自体は変わっていないことを示唆している。