N2· 中文 · 約 600字
本文
「もう、どうしよう。バスが来ない」
田中さんはスマートフォンを握りしめたまま、バス停のベンチに座っていた。旅行の二日目、山間の小さな村を訪れた彼女は、帰りのバスが運休になっていることをその場で初めて知った。
隣に座っていた地元の老人が、穏やかな声で話しかけてきた。
「どこまで行くんですか?」
「駅まで行きたいんですが……」
「ああ、それならうちの息子に頼んでみましょうか。ちょうど夕方に駅の方へ行くはずだから」
田中さんは一瞬戸惑った。見知らぬ人の厚意を素直に受け入れていいものか、判断がつかなかったのだ。日本では、見知らぬ人に頼るのはなんとなく気が引けるという感覚が根付いている。きちんと計画を立て、自分で解決するのが当たり前だという意識が、特に都市部では強い。
しかし、このままでは宿に戻れない。彼女は深呼吸をして、「ありがとうございます。お願いできますか」と答えた。
老人の息子に車で送ってもらいながら、田中さんは窓の外の山の景色を眺めていた。計画通りにいかなかったことで、かえってこんなふうに地元の人と話す機会が生まれたわけだ、と彼女は思った。
「旅って、うまくいかない時の方が、後で話したくなりますよね」と息子が笑いながら言った。
田中さんは小さくうなずいた。心の中では、自分が思っていた以上に、この国の人の温かさに触れられたことが、じんわりとうれしかった。
問題 2
Q1.
田中さんが老人の申し出に「一瞬戸惑った」のはなぜか。
①老人の言葉の意味がすぐに理解できなかったから。
②見知らぬ人の親切を受け入れることに慣れていなかったから。
③息子が本当に駅へ行くかどうか信じられなかったから。
④バスが運休になった理由をまだ知らなかったから。
Q2.
この文章を通じて、筆者が最も伝えたいことは何か。
①日本の地方では、地元の人が旅行者を助ける文化が広まりつつあるということ。
②旅先では事前に交通手段を十分に確認すべきだということ。
③都市部の人は他者に頼ることが苦手なので、旅には向かないということ。
④計画外の出来事が、思いがけない人との出会いや気づきをもたらすことがあるということ。
AI 보조로 작성하고 JLPT 레벨·문제 형식을 검수해 공개한 학습용 독해 지문입니다. · 2026년 5월 15일 공개 · 제작 방식 →