N2· 中文 · 約 600字
本文
かつて私は、絵を描くことは純粋に個人的な行為だと思っていた。誰かに見せるためでも、何かを訴えるためでもなく、ただ自分の内側にあるものを形にする作業だと。だから、社会問題を題材にした作品を見るたびに、「芸術に政治を持ち込むべきではない」と感じていた。
その考えが変わったのは、三年前のある展覧会がきっかけだった。会場に入ると、壁一面に大きなキャンバスが並んでいた。描かれていたのは、戦争で家を失った人々の表情だった。言葉は一切なかったが、その絵は静かに、しかし確かに何かを語りかけてきた。私は気づかないうちに立ち止まり、しばらくその場を動けなかった。
帰り道、私はずっと考え続けた。あの絵が私の心を動かしたのは、技術が優れていたからではない。描いた人が、伝えなければならないと強く感じていたからではないかと思った。その思いが、見る者に直接届いたのだ。
それ以来、私は自分の創作への向き合い方を見直した。芸術が社会に問いを投げかけることは、決して不純なことではない。むしろ、人の心に触れる力を持つ創作だからこそ、現実から目をそらさずにいられるのかもしれない。もちろん、何を描くかは作り手の自由だ。しかしその自由には、何かを伝えようとする責任も伴うわけだ、と今の私は思っている。
個人的な表現と社会への問いかけは、対立するものではない。それは同じ一枚のキャンバスの上で、共存できるものだと気づいた今、私の絵筆は以前より少しだけ重くなった気がする。
問題 2
Q1.
筆者の考えはどのように変化したか。
①芸術は社会に問いを投げかけることができ、それは不純ではないと思うようになった。
②技術的に優れた作品だけが、見る人の心を動かすことができると気づいた。
③芸術は政治とは完全に切り離すべきだという考えを、より強く持つようになった。
④社会問題を描くことよりも、個人の感情を表現することの方が大切だと感じるようになった。
Q2.
筆者が展覧会の帰り道に考えたこととして、最も適切なものはどれか。
①戦争をテーマにした絵は、見る人を不快にさせるので避けるべきだということ。
②社会問題を題材にした作品は、展覧会には向いていないということ。
③言葉を使わない表現は、言葉を使った表現よりも芸術として価値が高いということ。
④あの絵が心を動かしたのは、描いた人の強い思いが見る者に伝わったからだということ。
AI 보조로 작성하고 JLPT 레벨·문제 형식을 검수해 공개한 학습용 독해 지문입니다. · 2026년 5월 16일 공개 · 제작 방식 →