今、私はパソコンの画面を見ながら、二十年前のことを思い出している。あの頃、インターネットはまだ珍しいものだった。私が初めてオンラインの集まりに参加したのは、一九九〇年代の終わりごろだ。当時、私は社会学の研究者として、人と人とのつながりについて研究を始めたばかりだった。
そのとき、ある研究者のグループがインターネット上で集まりを作った。メンバーは日本中に散らばっていたが、毎週決まった時間にオンラインで話し合いをするようにした。私もそのグループに入ることにした。最初は、画面の向こうにいる人たちと本当に仲間になれるのだろうかと思っていた。顔が見えない。声も聞こえない。文字だけのやり取りで、どうやって信頼を作るのだろうかと、正直不安だった。
しかし、数か月が経つと、私の考えは変わっていった。グループのメンバーたちは、自分の研究の悩みや失敗をとても正直に書いてくれた。実際に会う場では言いにくいことも、文字なら書けるらしかった。私自身も、だんだん自分の気持ちを書けるようになっていった。このグループの中に自分の居場所があると感じるようになったのは、それからしばらく後のことだ。
その後、グループのメンバーが東京に集まって、初めて実際に会う機会があった。私はとても楽しみにしていたが、同時に少し緊張もしていた。画面の中の仲間と、実際の場所で会ったとき、何かが変わるかもしれないと思ったからだ。
実際に会ってみると、オンラインで感じていたつながりは本物だったと気づいた。でも、同時に新しい発見もあった。実際に会う場では、相手の表情や声のトーンから、その人の気持ちがよくわかった。オンラインでは得られなかったものがそこにあった。
今、私はこの経験を振り返りながら、一つの大切なことを学んだと思っている。オンラインの集まりと実際の集まりは、どちらが良いというものではない。それぞれに良さがある。オンラインでは、場所を超えて人とつながることができる。一方、実際に会う場では、言葉以上のものを伝え合うことができる。
二十年前の私たちのグループは、両方をうまく組み合わせることで、強いチームになることができた。この教訓は、今の時代にもそのまま当てはまると思う。インターネットが当たり前になった今こそ、オンラインと実際の場のそれぞれの役割を正しく理解することが大切だ。私はこれからも、仲間たちと一緒にこのテーマを研究し続けるつもりだ。