N2· 中文 · 約 600字
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今、窓の外を眺めながら、あの頃のことを思い出す。四十年近く前のことだ。私はまだ二十代で、小さな印刷会社に勤めていた。
当時、残業は当たり前のことだった。夜の十時を過ぎても会社に残り、上司より先に帰ることなど考えられない空気があった。有給休暇という言葉は知っていたが、実際に使えた記憶はほとんどない。体が疲れていても、「会社のために頑張るのが当然だ」と自分に言い聞かせていた。若かった私は、それが正しいことだと信じていたわけだ。
あの頃、同僚の田中さんが突然倒れた。過労が原因だと医者に言われた。三十二歳だった。その知らせを聞いたとき、私は初めて「このままでいいのか」と思った。しかし、それでも職場の空気はすぐには変わらなかった。会社の競争力を保つためには、社員が努力するしかないという考えが、組織全体に深く根付いていたからだ。
今になって振り返ると、あの時代の働き方がいかに多くのものを奪っていたかがよく分かる。健康ばかりか、家族との時間も、自分自身を見つめる余裕も、すべて失っていた。効率を求めるあまり、人間としての大切なものを後回しにしていたに違いない。
近年、働く人の権利を守るための法律が整えられてきたと聞く。それ自体は喜ばしいことだ。しかし、制度が変わっても、職場の意識が変わらなければ意味がないとも感じる。田中さんのような経験を、次の世代には繰り返してほしくない。あの夜の重い空気を、私は今も忘れることができない。
問題 2
Q1.
筆者が「このままでいいのか」と初めて思ったのは、どのような出来事がきっかけだったか。
①同僚が過労で倒れたという知らせを受けたとき
②有給休暇を使えないまま一年が終わったとき
③上司から深夜まで残業するよう命じられたとき
④会社の業績が大きく下がったと聞いたとき
Q2.
筆者が今の時代の働き方の変化について述べていることとして、最も適切なものはどれか。
①法律が整備されたことで、職場の意識もすでに十分に変わったと評価している
②若い世代は権利を主張しすぎており、もっと会社のために努力すべきだと思っている
③制度の改善は重要だが、それだけでは不十分で意識の変化も必要だと考えている
④企業の競争力を守るためには、労働者の権利よりも効率を優先すべきだと主張している
AI 보조로 작성하고 JLPT 레벨·문제 형식을 검수해 공개한 학습용 독해 지문입니다. · 2026년 7월 25일 공개 · 제작 방식 →