かつてボランティア活動といえば、純粋に他者のために行うものだという考えが主流だった。自分の利益を求めることは、奉仕の精神に反するとさえ言われていた。1990年代ごろまでは、活動に参加する動機として「社会の役に立ちたい」という外向きの意識が圧倒的に多く、自己成長への期待を口にする人は少数派だった。
しかし2000年代に入ると、状況は少しずつ変わり始めた。若い世代を中心に、「活動を通じて自分も変わりたい」という声が増えてきたのである。支援する側が経験を積むことで視野が広がり、自分の価値観を見直すきっかけを得るわけだ。これは決して利己的な動機とは言えない。むしろ、自分が成長することで、より深く社会に関わり続けられるという考え方である。
私がこの変化を重要だと考える理由は、活動の継続性にある。外向きの使命感だけに頼ると、成果が見えにくい場面で意欲が落ちやすい。一方、内なる成長を実感できれば、困難な状況でも活動を続ける力になる。社会への貢献と自己の変化は、対立するものではなく、互いを支え合う関係にあるに違いない。
近年、ボランティア活動に関する議論の中で注目されているのが、「やりがい」という概念の変化である。以前は、やりがいとは支援を受けた人の笑顔や感謝の言葉から得るものだとされていた。活動の価値は、外側からの反応によって測られていたわけだ。
ところが今日では、やりがいの源泉はより多様になっている。活動を通じて新しい人と出会い、自分とは異なる生き方に触れることで、自分自身の考え方が変わる。そのような内的な変化もまた、重要なやりがいとして認められるようになってきた。この点において、現代のボランティア観は過去とは大きく異なると言えるだろう。
ただし、この変化には注意が必要だと私は考える。自己成長への期待が強くなりすぎると、支援を受ける側の存在が手段として扱われる危険性があるからだ。ボランティア活動の根本は、あくまでも他者への関心と支援にある。自分の成長はその過程で生まれる副産物であって、目的そのものではないはずだ。社会への貢献という視点を失わないうえに、自己成長の意義も認めるという、バランスのとれた姿勢が今後ますます求められるだろう。